予算を割いてまちのブランドやキャラクターを作ったものの、「作っただけで形骸化してしまっている」「具体的な活動に活かしきれていない」と感じている自治体担当者様は少なくありません。
ブランドやキャラクターを一方的に発信するだけでは、地域に定着しません。ブランディングで重要なのは、ブランドを軸に住民一人ひとりがまちについて考え、主体的に関わる機会を創り、その取り組みを外へ届けるという、「活動」と「発信」を両輪で回す仕組みづくりです。
長野県喬木村も、シティプロモーションの推進にあたり、「作ったブランドをどう現場で浸透・機能させ、持続的な活動人口を生み出すか」という課題に向き合っています。
本記事では、喬木村がブランドをまちづくりの「合言葉」として掲げ、住民を巻き込みながら進めてきたシティプロモーション戦略と、半年間の歩みをご紹介します。
ブランドを「合言葉」に。住民主体で動き出した推進体制
喬木村の取り組みの核となったのは、活動の中心となる住民組織「美し郷(うましさと)デザイン室」です。
重視したのは、行政主導ではなく、住民自身が主役となり自分ごととして動ける場づくり。10代の高校生から40代の民間事業者、福祉・教育関係者など、多様な分野の住民が集まり、「自分たちが想う喬木村の価値とは何か」について何度も対話を重ねました。
こうして住民自身の言葉から生まれたのが、喬木村のブランド「感動よ、つなげ。」。自分たちの想いからスタートした言葉だからこそ、メンバーの中に「自分たちがこのまちを面白くしていくんだ」という主体性と熱量が生まれました。
参加の機会をわかりやすく示し、日常の延長で関われる『活動戦略』
共通の合言葉である「ブランド」と、推進役である「デザイン室」が揃っても、一般の住民にとっては「具体的にどう関わればいいのか」が見えにくいもの。そこで、デザイン室は、住民が気軽に参加できる具体的な「関わりしろ」の提示と伴走を重点施策として取り組んでいます。
① 「感動よ、◯◯をつなげ。」を軸にした地域共創イベント
村内の施設や学校、地域事業者のもとへ足を運び、それぞれの「やってみたいこと」や抱える想いを丁寧にヒアリング。「感動よ、◯◯つなげ。」というブランドに紐付けながら、地元の認知症カフェと協働して「ささえあいの輪」をつなぐイベントを開催したり、中高生が自ら提案して「文化祭のステージバックを地域住民と一緒に作る」企画を推進するなど、多様な「関わりしろ」を創出しました。
② 身近で参加しやすいステップアップ企画
「村のブランドカラーを探す探索企画」や「空き家のお片付けチャレンジ」など、日常の延長にある身近なテーマで、住民自らが企画・行動する実践の場を広げていきました。
こうした地道な関わりの機会を創り続けた結果、喬木村には「住民が自発的に動き出す」という確かな変化が生まれています。
その変化を示すのが、新しくオープンした共創拠点「Co-creation space PERCH(パーチ)」の利用状況です。オープンからわずか半年の間に、住民からの持ち込み企画やイベント利用が生まれたほか、個人の得意や課題のマッチングを生み出す「GIVE&WANT」には40件以上の登録があるなど、住民のやりたいことが形になる場として着実に機能しています。
小さな変化を、村内外に届ける『発信戦略』
活動と並行して喬木村が重視したのが、住民の自発的な取り組みを「村の中だけの盛り上がり」で終わらせないことです。活動の様子を村内と村外の双方に届けることで、一人ひとりの小さな行動を、まち全体の取り組みとして見えるようにしました。
村内に向けては、村の情報誌「たかぎ」で2ヶ月連続の表紙・巻頭特集を組み、デザイン室や住民の取り組みを広く紹介しました。村外に向けては、メディアにも積極的に働きかけ、県紙の信濃毎日新聞や地域紙の南信州新聞に取り上げられました。
こうして活動と発信が並行して進んだことで、住民一人ひとりの小さな行動変容がまち全体の魅力として、村内外へ届き始めています。
【喬木村役場ご担当者様からのコメント】
村が大切にしてきた想いが『共通の言葉』になり、それが住民の皆さんに受け入れられ、デザイン室のメンバーを中心に自発的な活動につながっている様子をみて、地域全体の熱量が高まっているのを肌で感じています。
喬木村の良さをそれぞれが自覚し、誇りを持って誰かに伝えたいと思ってもらえることが、まちづくりにおける何よりの価値だと思います。この共通認識が浸透することで、これからの村の取り組みすべてに良い変化が波及していくことを期待しています。
ブランドは「きっかけ」。目指すのは、活動と発信が循環する仕組みづくり
喬木村の事例が示すのは、シティプロモーションの本質は「ブランドを作ること」ではなく、「まちを自分ごととして捉える人を育み、ブランドを合言葉に活動と発信の両輪を回すこと」だということです。
半年間で喬木村は、住民主体の活動と、それを村内外に届ける発信を並行して動かす土台を築きました。次の段階は、発信をきっかけに新たな住民が関わり、その活動がまた発信される、という循環を生み出していくことです。
現在、国が推進する「ふるさと住民登録制度」をはじめ、地方創生は定住人口の獲得だけでなく、多様なカタチで地域に関わる「活動人口・関係人口」を増やしていくことが不可欠です。
外から選ばれる地域になるためには、まちを知り・関わる機会が必要です。まずは地域住民がまちに愛着と期待を持つこと、そして自らの活動を発信し、外からの関わりを温かく受け入れて共に価値を創り出せる「土台」が欠かせません。
喬木村が実践するブランドを軸に住民主体で活動人口を増やしていくシティプロモーション戦略は、これからの時代において全国の自治体が持続可能なまちづくりを進めるうえでの大きなヒントになります。FoundingBaseはこれからも、地域の中に入り込み、住民と共に関わりと愛着の循環を創り出していきます。
【無料相談会のご案内】
「ブランドの必要性を感じているがどう住民を巻き込んでいけばいいか悩んでいる」「住民主体で活動人口を増やす仕組みを作りたい」とお考えの自治体ご担当者様は、ぜひお気軽FoundingBaseまでお問い合わせください。無料オンライン相談も承っております。
※この記事は2026年09月時点の情報です。
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