昨今、多くの自治体では総合計画に基づいたまちづくりが進んでいます。
しかし、行政が策定した計画が住民の理解や共感を得られず、計画通りに進まないケースも少なくありません。
こうしたギャップを埋めるためには、住民と目的を共有し、ともにまちの未来を考えるプロセスが不可欠です。
そんななか、長野県喬木村では「選ばれるむら」を目指して、まちのブランド構築に取り組む「喬木みらいプロジェクト」が2025年4月に始動しました。
今回は、このプロジェクトをリードするFoundingBaseシティレコグニション部の宮﨑香帆さんに、計画段階から住民を巻き込む意義や、市民参画を促すワークショップ設計のポイントについて伺いました。
喬木みらいプロジェクトとは
──まずは喬木村での取り組みについて教えてください。
喬木村では、2020年の人口調査で、40年後には人口が約45%減少するとされていました。事実、2025年現在、その見通しどおりに人口が減少しています。
このまま人口減少が進むと、将来的に村の自立運営が難しくなるという危機感から、2025年度より“選ばれる村づくり”を掲げたシティプロモーション事業をFoundingBaseとともにスタートさせました。
その中核となるのが「喬木みらいプロジェクト」です。
このプロジェクトでは、地域の未来を住民とともに考える会議体「美し郷(うましさと)デザイン室」を発足し、ワークショップを通じて喬木村の魅力を掘り起こし、シンボルやキャッチコピーの制作など、住民とともに喬木村のブランド構築を進めます。
──プロジェクトに取り組むにあたってモデルケースはありますか?
FoundingBaseが美唄市で行っているシティプロモーション事業です。
市民によって生まれたブランド「Be Beautiful 美しくあれ。」は、日本地域情報コンテンツ大賞2023 最優秀賞を受賞するなど地域内外から高い評価を受け、認知拡大に大きく貢献しています。
──「美し郷(うましさと)デザイン室」について教えてください。
「美し郷(うましさと)デザイン室」は、むらの未来を住民とともに構想するための会議体です。
むらのブランドを形成するには、行政の視点だけでなく、そこで暮らす人のリアルな言葉や価値観が重要だと考えています。
私たちの声かけによって、「大人になっても戻ってきたいと思える村にしたい」という思いを持つ10代〜40代の住民10名が集まりました。
2025年5月から11月にかけて、全10回以上のワークショップを通して、喬木ブランドの策定を目指します。
ワークショップ設計で意識していること
──ワークショップを企画する上で大切にしていることを教えてください。
毎回、「なぜこの活動を行っているのか」という目的を共有し、プロジェクトの進捗を共有しています。
また、参加者が安心して意見を出せるよう、議論のルール(グランドルール)を 毎回確認しています。
言葉にしやすい人もしにくい人もいます。メンバー一人ひとりが感じている思いや価値観を引き出すことを大切にしています。
──印象的だったワークショップのエピソードはありますか?
初回のワークショップでは、「なぜこの活動をするのか?」という疑問がメンバーからあがり、当初予定していたプログラムを急遽変更し、対話の時間に切り替えました。
というのも、喬木村ではこのプロジェクトよりも前に共創施設の建設計画が先行しており、「なぜ施設を先に建ててしまったのか」という疑念があったようです。
この経験を踏まえ、2回目以降のワークショップでは、この活動の目的と進捗を明確に示すことと、グランドルールによって相互理解を深める仕組みづくりにより注力しました。
市民参画による村の変化
──デザイン室のメンバーの意識に変化は見られましたか?
初回のワークショップを受け、メンバー3人と個別に対話の時間を持ちました。
私たちの立場やプロジェクトの背景をしっかり共有することで、少しずつ主体的に発言する姿が見られるようになりました。この3人を起点に、その後のワークショップでも他のメンバーからの意見が増えていきました。
── 住民が参画したことで、まちにどんな変化が起きたと感じますか?
はい、特に2つの変化を感じています。
1つ目は、住民の理解が深まったことです。
私たちは、喬木村役場が発行する『情報誌たかぎ』で、プロジェクトの進捗を毎月報告しています。
当初は「何をしているのかわからない」といった反応もありましたが、回を重ねるごとに応援の声やアイデアが届くようになりました。
2つ目は、話しやすい土壌が育まれたことです。
毎回のグランドルール確認や、互いの発言を尊重する姿勢が定着していく中で、村民同士の信頼関係が築かれていくのを感じています。
「むらを良くしたい」という思いが、少しずつ広がってきています。
まとめ
喬木村の「美し郷デザイン室」は、地域ブランドをつくるだけでなく、まちの未来を住民と共に描く“対話の場”としての役割も担っています。
市民参画によって生まれる納得感と当事者意識は、まちを動かす大きな原動力になります。
FoundingBaseでは、こうしたプロジェクトの立ち上げからワークショップの設計・伴走まで支援しています。
「まちの計画に市民をどう巻き込んでいくか」にお悩みがあれば、ぜひお気軽にご相談ください。
※この記事は2025年09月時点の情報です。
crop_square こちらの事例もあわせて読まれています
お問い合わせください
まずは情報収集から
お気軽にご相談ください。