大分県豊後高田市は、海と山に囲まれた自然豊かな地域であり、景勝地や温泉など多くの観光資源を有しています。しかし、地域資源を活かしながらも、持続可能な観光産業の確立には課題がありました。
そんな中で市が新たに推進したのが、長崎鼻海水浴場を活用した「パーフェクトビーチ構想」です。
夏型の観光地だった長崎鼻海水浴場を通年型の観光拠点とし、交流人口の増加を目指すこの取り組みにおいて、FoundingBaseはパーフェクトビーチ構想の一つである「長崎鼻ビーチリゾート」の施設プロデュースから運営までを担い、交付金や補助金に依存しない独立採算型の観光事業へと転換し、年間5,000人が宿泊する滞在観光拠点へと成長を遂げています。
本記事では、プロジェクト発足時に抱えていた市の課題や、具体的な取り組みについて詳しくご紹介します。
目的
- 夏のみの海水浴場を通年で楽しめる滞在型観光拠点化し、交流人口を増やす
課題
- 交付金に頼らず、持続可能な事業モデルを確立する必要があった
- 少子高齢化により、運営の担い手が不足していた
- 観光資源である海水浴場を上手く活用できていなかった
結果
- 財務計画に基づく堅実経営を実施し、自立運営を実現
- 地域住民の参加を促し、海水浴場を地域交流の場へと転換
- 地域資源を活かしたコンテンツ開発により、観光拠点としてのブランディングを確立
- 地方創生推進交付金
商工観光課の役割
豊後高田市の商工観光課は、地域経済の活性化と観光振興を推進し、市の持続的な発展を目指しています。
特に、地域の魅力を最大限に活かした観光まちづくりに力を入れ、さまざまなプロジェクトを展開してきました。
プロジェクト推進における課題
パーフェクトビーチ構想を進める中で、夏と花が咲くシーズン以外の集客が大きな課題となっていました。
長崎鼻のある海側のエリアは、春は菜の花、夏はひまわりや海水浴を目的に多くの観光客が訪れる一方で、秋冬は集客の目玉となるコンテンツがなく、閑散とした状況が続いていました。
年間を通じた観光地化を実現するには、滞在拠点の立ち上げと地域資源を活かしたコンテンツ開発を行い、季節を問わず訪れたくなる場づくりを進める必要がありました。
しかし、このプロジェクトを推進するには2つの課題がありました。
- 黒字経営の実現
施設運営に補助金を投入し続けることは自治体の財政負担となるため、持続可能な収益モデルの構築が急務でした。観光需要の変動に対応しながら、安定した経営を実現できる事業スキームが求められました。 - 地域住民の参画
行政主導のプロジェクトは、地域住民との温度差が生じやすく、予算投入に対する理解を得ることも難しい状況でした。観光地として長く発展していくためには、地域に根ざし、住民が共感し、主体的に関わる仕組みが必要でした。
これらの課題を解決し、持続可能な運営モデルを確立するためには、自治体単独ではなく民間企業との連携が不可欠でした。
FoundingBaseをパートナーに選んだ理由
豊後高田市の高田高校の校長が、当時FoundingBaseが他県で展開していた「高校魅力化プロジェクト」を視察したことがきっかけで、当時の永松市長にFoundingBaseの取り組みを紹介。その後、自治体内で関心が広まりました。
FoundingBaseは地域おこし協力隊制度を活用した若手人材の採用・育成を得意としており、行政との連携実績も豊富。商工観光課としても、若手人材をプロジェクトの推進力にしたいと考えていたため、双方のニーズが合致しました。
まずは、協力隊の採用マネジメントを中心に、プロジェクトの現場推進に従事。地道な活動によって自治体との信頼関係を深める中で長崎鼻海水浴場の運営提案を行い、黒字経営の実現可能な事業計画とこれまでの取り組み実績が評価され、施設運営を正式に受託しました。
取り組みと成果
施設運営の委託を受けた後、長崎鼻海水浴場に新たなグランピング宿泊施設「長崎鼻ビーチリゾート」を立ち上げ、地域と施設の課題に向き合いながら持続可能な運営モデルを構築。
その結果、次の3つの成果をあげました。
① 持続可能な運営モデルの確立を実現
運営計画は委託前から進められていましたが、収益化の見通しは不透明でした。
そこで、損益計算書(PL)と貸借対照表(BS)に基づく中期計画を策定。運営スタッフには地域おこし協力隊を活用することで、財源負担を軽減。
財務計画に基づく堅実経営によって、事業開始2年目(2019年度)には黒字化を達成。交付金や補助金に頼らない、持続可能な経営モデルの確立を実現しました。
② 地域住民の施設利用を促進
これまで何もなかった海水浴場に新たな価値を生みだし、地域に根付いた施設とするために、イベントの企画や施設活用について住民の意見を取り入れながら運営を進めました。
その結果、単なる観光施設ではなく、地域住民の交流拠点としても利用が広がり、地域に愛される場所へと変化しました。
③ 観光拠点としてのブランディングを確立
「海とすごす1日」をコンセプトに、夏はSUPやカヤックなどのアクティビティ、冬は焚き火や海のイルミネーションといった季節ごとの観光コンテンツを充実させ、年間集客を実現。ビーチという地域資源を目的に訪れる価値のある場所としてブランディングを確立し、年間5,000人が集まる観光拠点へ成長しました。
今後の展望
現在、豊後高田市を訪れる観光客の9割が日帰りで、宿泊は別府や由布院へ流れています。この課題を解決するには、長崎鼻エリアを滞在拠点とし、観光客の滞在時間を延ばすことで観光消費の拡大を図ることが重要です。
そのために、長崎鼻ビーチリゾートを中心に、周辺の宿泊施設も含めたエリア全体で一体感を持たせ、地域資源を活かした「訪れる価値のある滞在拠点」としてのブランドを確立していきます。
※この記事は2025年02月時点の情報です。
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