福井県美浜町では、少子高齢化と若年層の流出による人口減少が進み、地域の活力低下が大きな課題となっていました。こうした現状に対し、町は2022年度より総合振興計画に基づき町の中心ににぎわいと交流を創出するプロジェクトを始動。住民や町外の方との「交わり・つながり・ひらめく」を実現するため、みはまシナプスプロジェクトでは「人づくり」に注力しています。
FoundingBaseは2023年度より美浜町と連携して公設塾「放課後教室サン」および「学びコミュニティ Kai」を設置。小中高の学びを繋ぎ、子どもたちが”学び”と”挑戦”を通して地域と関わる仕組みを構築しています。
本記事では、美浜町が抱えていた課題と具体的な取り組みについてご紹介します。
目的
- みはまシナプスプロジェクトでは、まちが目指す未来に向け、「人づくり」「空間づくり」「コンテンツづくり」をテーマににぎわいのあるまちを目指す。
課題
- まちのにぎわい創出人材を育む包括的な仕組みがない
- 地域と子どもたちを繋ぐコーディネーター的存在が不足
結果
- 公設塾「放課後教室サン」・「学びコミュニティKai」を設置
- 全国高校生マイプロジェクトアワード全国Summit出場
- 町民や学校とさらなる連携を強化
- デジタル田園都市国家構想交付金
担当課の役割
美浜町まちづくり推進課は、町が抱える地域課題の解決を図り、「まちの中心ににぎわいを創出する」という目的で立ち上がった「みはまシナプスプロジェクト」をはじめとする、まちづくりに関わる構想の企画・調整をしています。
美浜町が抱える課題
美浜町では少子高齢化や若年層の流出による人口減少で町の活力が失われていくことに危機感を抱いていました。この状況を打破するため、22年度より人との新たなつながりを築く”交流”の拡大を目標に「人づくり」「空間づくり」「コンテンツづくり」をテーマにみはまシナプスプロジェクトを推進しています。
そのなかで、「人づくり」の課題が浮き彫りになっていました。美浜町では、18年度から小学校で総合学習に力を入れてきましたが、シナプスプロジェクトの人づくりが目指す「まちのにぎわい創出人材を育む」ための包括的な仕組みがありませんでした。
また、町内に高校がないことから、高校生になると、まちとの関わりが薄れてしまうという問題もありました。
そのため、小中高の学びを繋ぎ、まちとの関わりをコーディネートする存在が求められていました。
FoundingBaseをパートナーに選んだ理由
町は、「みはまシナプスプロジェクト」に共感し、協働してくれるパートナーを探していました。
そこで、FoundingBaseの全国各地で探究学習の支援や公営塾の運営に携わってきた実績が評価され、特に以下の点が選定の決め手となりました。
①担い手育成と学びの設計ができる
②公営塾など、学びの場の運営ができる
③町民に寄り添い、意欲ある挑戦に伴走する体制を構築できる
④学校と地域、行政との連携のハブとなれる
⑤取り組みの成果を対外的に発信し、まちの魅力として還元できる発信力
取り組みと成果
①公設塾「放課後教室サン・学びコミュニティKai」を設置
公設塾「放課後教室サン」には、美浜町内の小中学生約70人が通塾。サンでは、興味関心を深めるテーマ型授業と、自らの興味関心などをテーマにプロジェクトを企画・実施するマイプロジェクト、地域課題にチームで取り組むPBL(課題解決型学習)を提供しています。
また、「学びコミュニティKai」には高校生約10名が参加し、地域を舞台にしたオリジナルのマイプロジェクトを実施。生徒らは、美浜町の次期総合振興計画を考える「MIHAMA高校生サミット」や、美浜町の企画する様々なイベント、地域ごとに行われる「放課後こども教室」「こども食堂」などの企画・運営サポートに参画。高校生がまちを動かす担い手として活躍しています。
②全国高校生マイプロジェクトアワード全国Summit出場
「学びコミュニティKai」で活動する高校生2人が「全国高校生マイプロジェクトアワード2024」(主催:認定NPO法人カタリバ)の全国Summitに出場いたしました。
全国から3,250プロジェクトが参加する同アワードの全国Summitに進出できるのは、動画審査や地域Summit Advancedを通過した48プロジェクトのみ。通過率約1.5%の狭き門を突破し、全国Summitに出場する快挙を打ち立て、地域に根ざした取り組みが全国で通用する成果として評価されました。
高校生の自己実現できる機会を作り、自分の「やりたい」に挑戦する人があふれる活動を続けています。
* 全国高校生マイプロジェクトアワード®は、認定NPO法人カタリバの登録商標です(登録5758300/5758304/6527881)
③町民や学校とさらなる連携を強化
サンやKaiで実施したマイプロ発表会には多くの町民が参加。子どもたちの本気にふれた大人たちが感銘を受ける場となりました。
町役場の担当課職員や移住希望者などが来場し、地域への共感や参加意欲が醸成されました。
また、学校の先生方と探究的な学びに関する情報交換を定期的に行い、放課後教室サンで培ったノウハウが学校教育に還元されたり、学校現場で行っていることをサンの授業に接続させたりなど、双方が連携することによる子どもの学びの深まりが生まれつつあります。
今後の展望
25年から対象を大学生・社会人にも広げ、地域に関わり続けられるインターンシッププログラムを展開予定です。
また、JR美浜駅から生涯学習センター「なびあす」までの「にぎわいゾーン」において、地域イベントやチャレンジショップなどの活動と、サン・Kaiの取り組みを接続させ、地域全体に「人づくり」の成果が波及していく仕組みを構築していきます。
※この記事は2025年06月時点の情報です。
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