茨城県大子町の唯一の県立高校である大子清流高校では、農林科学科をはじめとする特色ある学びを提供し、全国から入学者を受け入れています。
しかし、少子化により町内の生徒数は減少を続け、入学者の確保が大きな課題となっていました。
そこで大子町は、県内初となる高校魅力化事業を推進。FoundingBaseのノウハウを活用することで、地域全体を学びのフィールドとする独自の学習プログラムを導入し、県外からも選ばれる魅力ある学校へと変革を図っています。
その結果、令和7年度には前年比10倍の10名が県外から入学するなど、高校の魅力向上の成果をあげています。
本記事では、プロジェクト発足時に抱えていた町の課題や、具体的な取り組みについて詳しくご紹介します。
目的
- 町内唯一の県立高校の魅力を高め、県内外から選ばれる学校にする
課題
- 学校の強みが明確でなく、受験生に魅力が伝わっていなかった
- 学校と役場のコミュニケーションハブとなり、高校魅力化を推進する人材が不足していた
結果
- 独自の実践学習プログラムの実施により生徒の地域貢献の意欲が向上し、地元就職率が2.1倍に伸長
- 情報発信の強化により、県外からの入学者数が前年比10倍、全体の出願数も前年比1.68倍を達成
- 公設塾での探究学習支援により、全国レベルの評価を獲得
- 地域おこし協力隊特別交付税
- デジタル田園都市国家構想交付金
- ガバメントクラウドファウンディング
教育委員会学校教育担当の役割
町の教育委員会事務局学校教育担当は、まちの将来を担う人材を育成するため、町内小中学校の運営に関わる業務のほか中高連携事業を推進しています。
事業推進における課題
大子清流高校では入学者数の減少が続き、高校存続に関わる課題が顕在化していました。特に次の2点が課題となっていました。
①学校の強みが明確でなく、受験生に魅力が伝わっていなかった
「農林科学科」などの特色はあるものの、他校と差別化が不十分で、学校の魅力が明確に伝わっていませんでした。そのため、受験希望者が増えず、入学者数の確保が課題となっていました。
②高校魅力化を推進する人材が不足していた
戦略策定や実行を担う人材が不足しており、高校・役場が連携して推進できる体制が整っていませんでした。
そのため、施策立案や実施に向けたリソースが不足し、魅力発信や学習コンテンツの開発が進んでいませんでした。
これらの課題を解決するため、学校の強みを整理し、魅力化の施策を進め、効果的に情報発信できる外部人材の協力が不可欠でした。
FoundingBaseをパートナーに選んだ理由
当時の中高連携事業を担当されていた教育委員会の方が、FoundingBaseが実施していた「教育魅力化事業の事例」を誌面で知ったことがきっかけでした。
すでに全国6自治体での取り組み実績があり、大子町が目指す「教育を軸としたまちづくりを通じて若者や子どもから選ばれるまちになる。」という方針と親和性が高いと評価されました。
また、FoundingBaseが事業をはじめるにあたり、以下2点を高く評価されました。
- 高校魅力化事業のノウハウだけではなく、社員が地域おこし協力隊として地域に移住し、事業の設計・運用を伴走できる点
- 外部支援ではなく、社員が一人の町民としてまちに入り込むことで、地域内の関係者と密に連携し「大子町ならではの教育」が実現できる点
単なる事業コンサルではなく、実際に業務を推進する人材の不足という課題を解決できる点も決め手となり、事業実施に至りました。
取り組みと成果
高校の魅力を高め県外から選ばれる学校へと成長させるため、教育委員会と学校の目線を揃え、コミュニケーションハブの役割を担いながら、独自の学習プログラムを導入。その結果、次の3つの成果をあげました。
①独自の実践学習プログラムの実施により生徒の地域貢献の意欲が向上し、地元就職率が2.1倍に伸長
他校との差別化を図るため、授業に独自性と魅力を持たせ、地域資源を活かした探究授業を実施しています。
生徒たちが主体的に学ぶ機会の企画・提供を行った結果、「まちの課題を考え、行動することに充実感を感じた」「もっとまちのことを知り考えていきたい」などポジティブな意見が出るようになりました。
また、探究学習を通じて生徒たちの町に対する愛着心が育まれたことで、地元就職を希望する生徒が増え、地元就職率も前年比の約2.1倍(前年実績7名→15名)にまで伸長させることができました。
②情報発信の強化により、県外からの入学者数*が前年比10倍、全体の出願数も前年比1.68倍を達成
学校の魅力を言語化し、キャッチコピーを軸にした広報戦略を展開しています。
結果、令和6年度には県外や遠方からの入学者が前年比の10倍(前年実績1名→10名)、全体の出願数が前年比の1.68倍(前年実績32名→54名)に増加。5年ぶりに50名以上の出願数を獲得し、まちの将来を担う人材育成の土台を築くことができました。
③公設塾での探究学習支援により、全国レベルの評価を獲得
学校の学習だけでは提供のできない大学受験・就職支援や地域との関わりを深める探究活動のサポートなどを実施するため、県内初の公営塾「ことのば」を運営しています。
令和6年度『MY PROJECT AWARD2024』にて、約3,000件の応募の中から2つのプロジェクトが特別賞を受賞(受賞率:8.9%)。
探究活動の成果が全国レベルで評価されたことで、大子清流高校のさらなる認知拡大と評価向上に寄与しています。
* 一部県内の遠方地(通学困難地域)からの入学者数も含む
今後の展望
高校の魅力向上や県外入学者の増加が成果として表れた一方で、町内からの入学率の低さは依然として課題となっています。
この課題を解決するためには、学校や生徒の変化を中学校の先生や保護者に正しく届け、地域内での信頼と評判を高めていく必要があります。
今後は次の施策を推進していきます。
・授業やプロジェクトの拡充により、多様な学びを提供
・地元中学校との連携強化により、早い段階で高校の魅力を伝える機会を創出
・保護者向け説明会の実施を通じて、学校の取り組みを直接PRする場の創出
町内進学者の増加と、地域における高校の魅力認知の向上に取り組んでまいります。
※この記事は2025年02月時点の情報です。
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