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「センセイサポート」という新しい取組み in安平町(北海道)

「トビラを拓く」をテーマに活動しているFoundingBase教育事業。

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この「3つのトビラ」において、安平町では「好奇心のトビラ」と「挑戦のトビラ」を中心に展開しており、「教育が魅力的なEdu Town」の実現に向けて、現在では幼児〜中高生、大人にいたるまで年代別に3つの教育サポートを行っております。

この『あびら教育プラン』の中心ともいえるあびらぼにおいて、「日々多忙を極める先生方のサポートができないか」という問いから「センセイサポート」という企画がスタートしました。

「センセイサポート」のはじまり

すべてのはじまりは、2020年8月。
「センセイサポート」という新しい取組みについて、町内の小中学校をまわり、教職員向けに説明会を開きました。
※安平町には、4つの小学校と2つの中学校があります。

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「センセイサポート」は、日夜奮闘する多忙な先生方の負担軽減はもちろんのこと、「時間があればもっとこうしてみたかった」といった希望を叶えることも目的に置いています。
特に今年度は、一斉休校による時数確保の課題や日々の感染症対策など、例年以上に先生方の負担が大きいこともあってか、98%の先生方から「活用したい」との声をいただきました。

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そして、実際にこれまでの4ヶ月で、下記のような依頼がありました。

・学校行事のアレンジ:全児童が楽しむことができ、かつ、コロナ休校に 
 より低下した体力を向上させられるような特別プログラムを企画し、
 遠足にて実施してほしい!
・国際交流:小学校の英語授業内で、同年代の外国人と交流させたい!
・キャリア教育:コロナにより中止となった職場体験の代わりに、
 ふだんではできないような新しいキャリア教育をやってみたい!

…と前置きが長くなりましたが、冒頭の「総合学習のデザイン」に、時を戻そう。

怒涛のスケジュール

■10月末 依頼受付

依頼があったのは、わたしが学校訪問をしていた時のことでした。
※2〜4週に一回程度、各校を訪問し、授業見学をさせていただいています。

「社会科の授業で学習した『ニュース番組の作り方』や『制作者の思い』を生かして、子どもたちに校内ニュースを作らせたい。」と、5年生の担任から話しかけられました。

■11月上旬 NHKへの依頼、担任との打ち合わせ

「(ニュース番組の)制作者の思いについても触れたい」との希望があったことから、すぐにNHKの知人に連絡を取りました。また、担任の先生とお会いし、今後のスケジュール感を確認したり、元となる社会科授業の内容についてヒアリングを行ったりしました。

<決定事項>
・授業は11月後半で実施
・12月頭に授業参観があり、できればそこで発表会をしたい。
・時数は総合学習の10時間前後であれば確保できる。

11月中旬 NHKとの調整、授業作成

時数は「総合10時間」と決定し、そこから授業に向けての準備を開始しました。

<NHKとの調整>
今回は、管轄のNHK室蘭放送局の方々にご協力いただけることになりました。お越しいただく日程の調整や、当日の授業内容に関するやりとりをしました。

<授業作成>
今回のねらいである「友達との協力」「ICTの活用」を念頭に置き、コンテンツを企画しました。授業スライドの作成や備品の購入・準備、当日スタッフとの打ち合わせ、学校との調整が主な内容でした。


■11月後半〜12月頭 授業実施

①導入、NHKレクチャー
②撮影準備
③撮影
④編集
⑤リハーサル
のスケジュールで計5回学校にお邪魔し、授業を進めました。
そのうちの一部を、ご紹介します。

・NHKレクチャー
当日お越しくださったNHK室蘭放送局・高橋秀和アナウンサーの記事です。

・撮影
班ごとに分かれ、撮影!
それぞれが「キャスター」「リポーター」「カメラマン」の役割を全うしました。

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・編集
一人一台iPadがあたり、「iMovie」を使用して動画編集をしました。

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12月頭 ニュース発表会(ライブ配信)

最後(10時間目)の授業は、「授業参観日におけるニュース番組発表会」の予定でした。
しかし、新型コロナウイルス感染症の現状から中止となり、通常の土曜授業が行われることが決定しました。

「どうにかして、保護者の皆さまに子どもたちの頑張りを見ていただけないか…」
そう考え、YouTubeライブ配信を提案。
初めての試みであったにもかかわらず、快諾していただきました。

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せっかくなので、当日も生放送番組風に進行しました。
もちろん、進行役を担ったのは、子どもたちです。

自分たちの発表を終えた後、「アナウンサー」「コメンテーター」「カメラマン」に変身!
生放送独特の空気の中、動じることなく臨機応変に対応していく子どもたちの姿に、頼もしさを感じた30分間でした。

今回のセンセイサポートを終えて

「楽しかった!」「貴重な経験ができた!」「またやりたい!」
アンケート用紙に踊る文字たちを見て、素直にうれしく思いました。

中でもグッときたのが、
「みんながすごくがんばって撮影をした物が、1本になっているような気がしてよかったです。」
「みんなで協力して、ニュースを作るのがすごく楽しくて、もっとやりたいなぁと思いました。」
という言葉たちです。

ニュースづくりは、けっして簡単なことではありません。
それにもかかわらず、しっかりとやりきった子どもたち。
そして何より、友達と協力したり、友達のがんばりに着目したり…”チーム”としてもたくさん成長したと思います。

不安もあるなかでお任せくださった学校の先生方、毎回の授業を楽しみにしてくれた子どもたちに、感謝の気持ちでいっぱいです。

ここまで読んでくださった皆さまには”成功例”として映るかもしれませんが、まだまだ未熟な取組みです。

まず、わたしには教員経験がありません。
つまり、学校のことに関しては、まるっきり素人です。
「サポートすると言っておきながら、素人ってどういうこと?」と思われても、何も言えません。
なぜなら、当の本人が一番そう思ってきたからです。
それでも「やってみよう」と思った理由は、「ほんのわずかの”やってみる”で変わることもあると思ったから」です。

さいごに、わたしが思うこと

わたしはFoundingBase安平町team「学びサポート推進員」として、教えない放課後教室「あびらぼ」の立ち上げと企画運営を行ってきました。

ありがたいことに「おもしろいことをやっているね」と注目していただくことも増えましたが、学びの機会を届けられるのはごく一部の子どもたちに対してだけ。
“町営”塾として、このままでよいのだろうか…と常々考えてきました。

一方、子どもたちの学びの中心である学校では、「2020年問題」と呼ばれるほど様々な変革が求められています。
だからと言って、特別教職員が増員されるようなことはなく、むしろ「働き方改革」を前にジレンマを感じている先生方も少なくありません。

二度目になりますが、わたしは”学校のプロ”ではありません。
しかしながら、学校よりも比較的自由度高く動ける分、これまでの1年半でいろいろ試してみることはできました。
そして、それらの経験を用いて、子どもたちを一番身近で見ている先生方の「時間があればもっとこうしてみたかった」を形にすることができたら…子どもたちの毎日は、もっともっとワクワクするのではないか?と思うようになりました。

それでも、最初は不安だらけでした。
年度途中で提案に行ったら、前年度のうちにしっかりと学習指導計画を立て、日々子どもたちに向き合っている先生方に呆れられるのではないかとすら思っていました。
しかし、最終的にわたしの背中を押してくれたのは、目の前の子どもたちでした。

子どもたちは、大人が思う以上の柔軟性や吸収力を持っています。
「ちょっと難しいかもしれないなぁ」と大人が危惧したことも、いとも簡単にクリアしてしまいます。
それなのに、大人になるにつれて人はどんどん、未知の領域に足を踏み入れにくくなります。
時には、子どもたちに挑戦させることすら、躊躇してしまうときもあります。

まずはやってみないと何も始まらないにもかかわらず、です。

…とはいえ、理想を掲げてばかりいても、周囲は共感してくれません。
泥臭く、一つずつ実績を積み上げていくほかありません。

そして、全学校、全教職員に共感してもらえることは100%ありえないけれど、誰一人として共感してくれないわけでもありません。

まずは種を蒔いて、共感の芽を少しずつ育てていく…
咲いた花を見て、「意外とありかも」と眺めに来てくれる人が現れる…
そうしたら、次はもう少したくさん蒔こうか?違う種類も蒔いてみようか?…と、どんどん新たな夢を見ることができます。

「学校教育」と「社会教育」の垣根を越えて、”安平町”という庭を一緒に耕すことで、色とりどりの花が咲き誇るように。
それを見た子どもたちが、昨日より今日、今日より明日、笑顔になるように。

わたしも、センセイサポートも、まだまだ成長し続けます。

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