大子町拠点立ち上げレポート 教育によるまちづくりがスタートしました!
茨城県大子町ってどんなところ?
茨城県最北部の大子町。車を走らせればすぐ北に福島県、西に栃木県という山間部に位置しています。雄大な自然に囲まれた絶好のロケーションは、キャンプやハイキングにぴったり。日本三名瀑に数えられる袋田の滝や奥久慈温泉郷といった豊富な観光資源に加え、奥久慈りんごやしゃもなど豊かな食の数々も魅力のひとつです。
自然環境に恵まれた立地に加え、ボランティアなどを通じた生徒の探求学習を町民の方々がサポートするなど、物的・社会的にも教育資源に恵まれた大子町。
町内唯一の高校である大子清流高校では、専用の農場や演習林を有する農林科学科を設置し、農産物や木材の栽培から加工までの実践的な学びができる環境を実現しています。また、農林科学科は全国募集を行っており、町外からの生徒も大子清流高校で学ぶことができます。
その一方、大子町は茨城県で最も少子高齢化が進んでいる町とされています。町内には6つの小学校、4つの中学校がありますが、子どもの数は減少傾向。全国募集を行う大子清流高校も募集定員が充足せず、町内進学率も高くない現状にあります。
豊かな資源を生かした大子町の教育の魅力が町内外に十分に伝わっていないことから、より高い水準の教育を求める子どもたちは都市部に出ていってしまう。そんな現状に町としても危機感を抱いていました。
なぜFoundingBaseが大子町で教育事業を行うのか
私たちFoundingBaseはまちづくりの会社。教育事業は、単に子どもたちに質の高い教育を提供することがゴールではありません。その地域の教育を通じて子どもたちが自らの可能性に気づき、子どもたちの挑戦を地域の大人が応援できるようなまちづくりを目指しています。
地域との共生を通じて大子町の生徒が学び、自分の町に誇りを持ってもらえる教育を実現したい。そして町外の人からも選ばれる魅力ある学校を作っていきたい。そんな大子町の思いと、地域をフィールドとして生徒が挑戦する機会を創造するFoundingBaseの教育へのスタンスが重なり、大子町で教育事業を開始することとなりました。
大子町の教育事業で行うこと
町の課題を価値へと転換させるため、私たちFoundingBaseは大子町の教育事業の中で2つの取組みにチャレンジしていきます。
◎高校魅力化事業
大子清流高校の町内進学率を高めるため、教育委員会が主導してきた中高の接続を強める中高連携事業の一環として、2023年6月よりFoundingBaseが参画。全国募集を行う大子清流高校の魅力を高め、町内外に広めるための取り組みです。
具体的に行うことは、総合的探究の時間のカリキュラム拡充。高校生の学びの場を学校から町全体へと広げ、さまざま手法で町の課題解決に挑戦していきます。地域を巻き込んだチャレンジを通じて、自分の将来やそのために今できることを生徒自身が本気で考える。生徒自らの行動による実践的な学びを追究することで、他の高校では真似できない独自のカリキュラムを策定していきます。
◎公営塾「ことのば」
高校生を対象に、学力向上による進路実現と地域での体験機会を増やすことを目的として、大子清流高校内部で2023年10月から公営塾をオープン。ICTを活用した自律学習の支援や定期テスト対策など、学校と連携して生徒一人一人の希望進路に向けたサポートを行います。自律学習を通じて、生徒自身が「できない」ことを「できる」へ変えるプロセスを積むことで、自らの力で進路を実現できるという自信を育みます。
さらに従来の塾の枠組みを越え、総合的探究の時間を活用し、まちの課題解決プログラムにも取り組んでいきます。地域を舞台にした生徒の挑戦により近くで長期的に伴走することで、生徒が自身の課題を乗り越えて成長する「変化」の機会を生み出します。
ことのばという名前には「言の葉(ことのは)」と「事の場」の2つの意味が込められています。子どもたちが大子の学びを栄養として枝葉を広げるように、将来の選択肢を広げ、意志ある進路選択を実現してほしい。そして子どもたちが「やってみたい」を形にし、自分の原体験となるような「コト」を起こす場にしてほしいという思いから、このように名付けられました。
先んじて行われた夏のトライアル開塾では3年生10名が参加。小論文や志望理由作成のサポートを行いました。
正式な開塾となる10月からは、1年生6名、2年生5名、3年生11名の計22人が入塾。現在、3年生は受験に向けた小論文や面接練習を行っており、スタッフのサポートのもと毎日真剣な面持ちで取り組んでいます。1、2年生は放課後の学びの場として学校の課題や復習を行ったり、スタッフとともに計画を立てながら自律学習を進めるなど、毎日夜まで熱量を持って学習に取り組む姿が見られます。ことのばに来ることで「目標を設定して自ら学ぶ」という姿勢が習慣付いてきました。
今後は体験学習にも力を入れ、ことのばを起点に学校と町の連携を強め、生徒の学びを町全体で支えていける枠組みを作っていきます。
大子町で目指す教育を通じたまちづくり
今後は、大子町の豊富な資源を生かして町全体を学びのフィールドとし、子どもたちが自らの「やってみたい」を実現できる教育を目指します。子どもたちが自ら行動することを通じて、進路を自分ごととして捉え選択できること。そしてチャレンジする子どもたちの成長を大人たちが全力で応援できること。この2つの循環を通じて、挑戦の伝播する活気あるコミュニティを作っていきます。
地域の人々と関わりながら学ぶことで、子どもたちが将来地域に還元できる大人へと育っていく。都心に出て学ぶという選択だけではなく「大子町だからできる教育」によって町内外からより多くの子どもたちが学びを探求しにやってくる。そんな誰もがワクワクできる町の価値ある未来を実現するため、FoundingBaseは大子町で活動していきます。