移住支援「移住コンシェルジュ」の取り組みを公開します!(三条市)
新潟県三条市では、町の余白と個人のやりたいことを繋ぎ、地域に関わる人を増やす移住定住支援事業を行っております。
約1年の活動についてまとめましたので、ぜひご覧いただければ幸いです。
どうして移住支援が必要なのか?
新潟県三条市は、江戸時代から農民救済の一環で和釘の製造を行い、製造業が発展。「ものづくり」の街として、その技術やクオリティの高さが、世界中から注目を集めています。それぞれの技術に特化した企業が多く存在し、中小企業だけで1000社以上あり、“石を投げれば社長に当たる“と言われるほど社長が多い町です。
そんな魅力的な町ではあるのですが、移住する側から見た時にあまり情報が公開されていないこともあり具体的にイメージし辛い部分です。
相談される個々人にあった情報を伝えることで、地域における理想の暮らしを見つけるお手伝いをさせて頂いています。
何をやっているのか?
2021年4月から移住定住支援事業を開始し、三条市の「移住コンシェルジュ」として活動しています。
昨年では10人/年だった移住相談が、今では500人/年以上の方が移住相談に来られるようになりました。
移住定住支援事業を開始した当初感じていたことは、「仕事、暮らし、コミュニティ」の3要素が移住検討段階で大きな要素を占めているにも関わらず、あまり情報が公開されておらず具体的な地域での生活がイメージし辛いということでした。
私たちも移住する前はそう感じていましたが、実際に三条市に住んでみると地域の温かさや面白さを感じています。
移住を決める時に、その地域の「仕事、暮らし、コミュニティ」での温かさや面白さを知って欲しいという思いから、それぞれのフェーズに合わせたサービス提供を行いました。
『地方共創』にこだわりをもつFoundingBaseだからこそ提供できる、”その地ならでは”の情報や価値を届けられたと感じています。
交流・関係人口の創出
まずはじめに、私たちFoundingBaseでは移住支援の取り組みを「DECAX」というモデルを用いてフェーズごとに分解し、各フェーズにおける課題設定や施策実行を行っています。
特に大事にしている観点が、「再現性のある移住施策を構築する」ということ。
移住施策になると移住フェアへの出展等、移住顕在層にアプローチしがちですが、いわゆる交流・関係人口づくりにも多くの時間を割き、三条市にとっての「資産」を増やす取り組みをしてきました。
オンラインツアーをはじめ様々な施策を実施してきましたが、特に拘ったのがオーダーメイド移住体験です。“三条市での、あなたのためだけの2日間”をつくることでそれぞれの「知りたい!」というニーズに応えてきました。
1泊2日の体験の中で、仕事、暮らし、コミュニティについてどんな所を見てみたいかをヒアリングし、その人にとって三条市で知ってほしい所を周る行程を組み、当日は現地アテンドまでを担当します。
中には、私たちと一緒だからこそ行ける場所や、地元民しかしらない情報、既に住んでいる人と話す等、この機会でしか味わえない三条を体感していただきます。
もちろん、オーダーメイド移住ツアーに参加いただくまでも、オンライン説明会やオンラインイベント、個別相談など多くの接点を持っています。
多くの方は「今すぐの移住は考えていない」という状態ですが、そういった方々とも継続的に関わりを持ち続けられるよう定期的な情報提供や「地域の暮らし」に特化したイベントへの参加誘致等、地道に愚直に継続してきました。
移住支援
そして、ツアーに参加して実際に移住を検討していきたいという方に対して、仕事や住まい、休日の過ごし方までご紹介をさせて頂く取り組みを提供しました。
特に仕事に関しては、地域だとWEBに掲載されておらず地元の人しか知らない事も多くあります。そのため、それぞれの企業のビジョンや文化等をお聞きした上で、やりがいや環境で企業と移住者のマッチングするお手伝いを行っています。
本当に面白い方も多く、予約が5年待ちで8割以上を海外の料理人に販売している鍛冶職人や、有志を集め4日間で5万人以上が参加するオープンファクトリーのイベント企画する方等、仕事としてだけではなく人としても面白い会社も多くあります。
そういった企業の求人情報から、移住希望者に合う会社をご紹介しています。
定住促進
移住すると意外と地域と繋がる機会が無かったり、知り合いを創るのが難しいといったことがあります。初めて来る町で一人だと寂しいですよね。
そのため地域のコミュニティと繋がる「TAMARIBA」という移住者と地元の方が交流するイベントを定期開催しています。ここでは、「ちょっとやってみたい」を共有するたまり場として、小さなやりたいを共有しながらご飯を食べたりボードゲームをしたりして、気がついたら休みの日に一緒に遊びに行ったりとか仲良くなっているような場になっています。
前回は、中国から日本に移住し、今年度三条市に移住された宋さんが本場の火鍋を作ってくれて、雪が降る中みんなで汗を流しながら鍋を食べ、最後は初めましてと思えないくらい仲良くなっていました。
都会と地域を繋ぐ架け橋になる
FoundingBaseとして三条市で移住定住支援事業を行い1年が経ち、行政にコミットしていた移住者数も達成見込みです。
人気移住地域で1位に選んで頂いていたり、移住者も増えてきたり等目に見える変化も起き始めました。しかし、それでもまだ町が持っている魅力を出し切れていないです。
町に深く入っている私達だからこそ、あるべきを町の人達と構想し、町の余白を生み出していく。そうして出来た余白と地域に関わりたい人のやりたいを繋ぐことで、地域に関わる人を増やす。そして、これを日本中でつくることで、都会と地域を繋ぐ架け橋のような事業にしていきたいと思います。
最後に
現在FoundingBaseでは三条市に限らず、複数のエリアで移住促進施策を担っています。
また、来年度以降の取り組みにおいて、新規エリアを含む複数の地域から相談されています。
我々の一つの解は、『再現性のある移住施策において、「移住」というアクションはあくまで結果論である』ということです。
当然ながら、結果を追い求めてアクションし続けます。
そのためにも、
・魅力的なまちづくりを実現するために、FoundingBaseとしてその地で事業参画すること
・移住施策の各フェーズごとに最適なサービスを提供すること
の両軸が必須であると考えています。
「まちづくり」という明確な仕事も職務領域もありません。
行政の方々が掲げるまちの指針、そして、その地で生活している方々や事業者の皆さまの取り組み一つ一つが、まちを形成していくまちづくりです。
今後も『地方共創』をかかげる企業としてしっかりとその地に入り、根付き、私たち自身が率先して一つ一つの取り組みを形にすることで”魅力的なまちづくり”に貢献していきたいと考えています。