kii+と町の「共創」事例!「English Survival Camp」が開催されるまで
私たちが、各地域で実際に事業を進めていく中で、とても大切にしているスタンスが、「地方共創」です。アドバイザーでもコンサルタントでもない私たちは、一人のプレーヤーとして実際に地域に移り住み、モノ・サービスの創造や活用といった地域経済を創り出すことに取り組んでいます。
今回ご紹介する事例は、岡山県吉備中央町で運営している、町営塾kii+と町内の方が事業外で持っていたつながりから始まり、共に創り上げていった「English Survival Camp」についてです。
吉備中央町に2年前に移住をされてきて、カフェと宿泊施設の2つの顔を持つ小森のツキノシタを古民家をリノベーションして創り出し、現在そのオーナーとして活動されているつーさんとりえさんは、吉備中央町に移住するまでにどんなことを大切にしてきたのか、どんな思いを持ってkii+の活動に協力をしていただいたのかについてお伝えします!
自分の好きに真っ直ぐに生きる
現在はツキノシタでオーナーとして活動しているつーさん。今はローカルで活躍をしていますが、吉備中央町に来るまでは合計50カ国以上を回る旅人でした。旅を始めたきっかけは大学時代の友人の誘いだったそうです。
友人に誘われて行った北海道で雄大な自然や、その地の人々や旅をする仲間との出会いの魅力に取り憑かれてしまったつーさん。それをきっかけに北海道に長期の休みごとに通うようになります。その中で、ただ周りと同じように就職をするのではなく、自分で決めた面白いと思う未来を選びたいと思うようになりました。
そして決まっていた就職先はお断りし、突然オーストラリアに旅立ちます。その時つーさんは英語はほとんど話せませんし、渡航先での仕事は決まっていないという状態でした。それがつーさんの旅の始まりです。
そこからは自分がその時に行ってみたいと思った場所や国に向かうというスタイルで旅を続けたつーさん。常に知らないことを自分の目で見て知りたいという好奇心に満ちた状態だったと言います。この好奇心にまっすぐ向き合うことが大学生のときから今まで大事にし続けていることだそうです。
この一瞬を楽しむという姿勢
次の国に行くまで東京で仕事をしていたつーさんを悲劇が襲います。乗っていた高速バスが横転し、バスに乗っていた乗客の多くが亡くなる大きな事故に巻き込まれたのです。自身も一歩間違えれば命はなかったような大事故を経験しました。
そこでの経験や病院でのリハビリ期間を通して、命は一瞬で失われるということを強く実感したそうです。
そして改めて自分がしたいと思うこと、その一瞬一瞬を大切にすることを誓い、それまでやってみたいと思っていたゲストハウスを岡山で作ることを決めました。
岡山でゲストハウス、現在のツキノシタを吉備中央町で作る準備をはじめました。岡山で現在一緒にオーナーとして活動しているりえさんに偶然出会いました。そこからは二人三脚で、吉備中央町にぽつんと残っていた空き家を少しずつリノベーションして現在の姿まで創り上げてきました。
ツキノシタはつーさんが世界を旅して回ったときに得た経験と、インテリアの仕事をしていたりえさんの二人のバックグラウンドが詰まった場所になっています。二人の「好き」が詰まった素敵な場所が吉備中央町に出来上がったのです。
目の前の人の幸せに尽くす
二人がツキノシタでお客さんを迎え入れる上で大切にしていることがあります。
それは「目の前の人の幸せ」に全力でコミットし続けるということです。
ツキノシタはただご飯を出したり宿を提供する場所ではありません。来てくれた人が一番楽しめる環境を二人が全力でプロデュースをしてくれます。決まったことをするのではなく、常に来てくれた方にとって最善の過ごし方は何かを考え行動をしています。
りえさんはインタビューの中で、こう言っていました。
「ツキノシタはオープンしてからずっと試行錯誤し続けているし、これからも小さく改善をし続けていく」
「目の前の人の幸せ」を大上段に置き、そのために何ができるかを考え続ける。それが目の前の人を幸せにし、そのように目の前で生まれる幸せの当事者になることが自身の幸せにも繋がるとも伝えてくれました。
ツーさんが旅にのめり込んだのも、岡山に帰る決意をしたのも、りえさんと二人でツキノシタを作ることに決めたのも全ては、偶然の出会い・出来事から始まっています。
ツキノシタでも二人とお客さんに与えた幸せが、クチコミで広がり次の出会いを生み出します。二人が目の前の幸せにコミットするからこそ、そこから少しずつ幸せの輪が広がっていき、自分にも帰ってくる。それこそが二人が今大切にしていることです。
ツキノシタとkii+の共創
2019年にオープンしたツキノシタとkii+が出会ったのは、スタッフの個人的なつながりからでした。お店の内観や二人の魅力とEnglish Survival Campが確実にマッチすると思い、イベントの会場として使わせてもえないかというところからイベントの計画が始まりました。
イベント当日、会場準備や食事の提供などで忙しい中でも、生徒との関わりを積極的に持ってくれた二人の周りには、常に生徒の笑顔が生まれていました。ここでも目の前の生徒の幸せを生む、楽しい時間を創り出す二人の姿を見ることができました。
kii+だけでは作れなかった世界観や、生徒のミッションへの没入感をツキノシタと共に創り出す事ができたのではないかと考えています。
イベント実施後につーさんから1つの素敵な出来事を共有していただきました。
イベントの中で、生徒と全力で関わるkii+のスタッフを見て、大人が町の子どもたちのために教育に携わっていることを知ったつーさん。自分もそうした大人に囲まれていた1人だと気づいたと言います。
そしてその感謝の想いを伝えたいと思い、すぐに中学校でお世話になった顧問の先生が在籍している学校に連絡。そこで顧問の先生の連絡先を確認して、過去にお世話になった感謝の気持ちを伝えるとともに、今でもメールでの連絡を続けているそうです。
お二人が普段ツキノシタのお客さんにしているように、kii+も新しい出会いをEnglish Survival Campを通して生み出すことができたのではないかと考えています。
kii+はイベントを通して、町のおもしろい大人に出会う機会を創り出すことを大切にしています。また、このように想いを持った方と協働することで、kii+だけでは生み出せなかった価値を創り出すことができるとも考えています。
そうして創り出した魅力あるコンテンツを、これからも生徒を中心として町民の方々に届けていきたいと思います。