少子化や人口減少が進むなか、「地域資源を活かした探究学習」や「学校外での学びの場づくり」の方針を掲げる自治体が増えています。一方で、現場の担当者から聞こえてくるのが、「計画や予算は確保したものの、それを実行する体制が作れない」という声です。

学校には負担をかけられない、地域をどう巻き込めばいいか分からない。立場が違う関係者の目線を合わせ、現場を動かしていくのは簡単ではありません。しかし、一過性の取り組みで終わらせないためには、「関わり続けられる」仕組みづくりが不可欠です。

京都府宮津市も、放課後探究スクール「Q-port」の立ち上げにあたって、同じ課題に直面していました。宮津市が目指したのは、「多世代がつながる」学びの場。世代を超えて地域で学び合い、子どもたちがまちで挑戦したいことを見つけ、まちと関わり続けられるサイクルの構築です。

本記事では、宮津市がどのように関係者の目線を揃え、立ち上げ数ヶ月でのべ100名以上が集まる場を定着させたのか、その伴走プロセスを紹介します。

予算と方針はできた。誰がどうやって現場を動かす?

京都府宮津市は、小中一貫教育の推進など、独自の教育施策に力を入れてきました。その中で、子どもたちが世代を越えて地域で学び合う環境を作るため、令和7年4月に放課後探究スクールの構想が持ち上がりました。

しかし、いざ事業を動かすとなると「教員は地域の状況を把握しきれない」「現場の負担を増やせない」といった懸念がありました。そこでFoundingBaseは、地域交流拠点「前尾記念クロスワークセンターMIYAZU」の運営で築いていた地域や学生との接点を生かして現場に入り、丁寧な対話を重ねました。

最初に取り組んだのは、関係者同士が「手伝う」ではなく、「一緒にやりたい」と思える関係性の構築です。


学校現場に対しては、地域の事業者や地域プレイヤーをつなぎ、相互理解を深めた上で協力関係を築けるようサポートしました。また、教員の負担を増やさない連携方法を模索するなど、目線合わせと実行の土台を作りました。

あわせて、学びの提供にあたっては、教育に関心のある地域の事業者や地域プレイヤーの元へ足を運び、その思いや実現したいことをヒアリングしました。「地元に愛されたい」というバス会社や、「放置竹林を解決したい」という寺院の住職など、丁寧なヒアリングを重ねながら、その思いを探究プログラムへと昇華させていきました。

自発的な挑戦を引き出す「お試し × 本格探究」のステップアップ設計

どんなに良いプログラムを作っても、子どもたちが来てくれなければ意味がありません。

そこでQ-portは、学びを海に見立てて「お試し乗船」「Qクルーズ」の2つの学習コースを設計しました。

子どもたちの興味をくすぐる身近なワークショップで、探究の面白さに触れてもらう「お試し乗船」コースと、探究に興味を持った子どもがより学びを深め、様々なプロジェクトに挑戦する「Qクルーズ」コース。

いきなり高いハードルを設けるのではなく、子どもたちの状態に寄り添い、自然と学びをステップアップできるようなコース設計にしました。

立ち上げ数ヶ月で100名超が参加。世代を超えた「学び合い」を創出

地道なアプローチの結果、令和8年4月のQ-port本格始動から3ヶ月で、のべ100名*を超える小中高校生が活動に参加しています。

* 令和8年7月末時点

活動の現場では、川の調査に夢中になる小中学生を見て高校生が刺激を受けたり、魚の捕まえ方を教わった小学生が高校生に憧れを抱いたりといった、世代を超えた「学び合い」が早くも生まれています。

保護者からも、「のびのびと自分の強みを発揮できる居場所になっている」といった声が寄せられ、着実に地域に欠かせない場へと育っています。

教育を通じて「関わり続ける」循環の仕組み

Q-portの成果は、宮津市に住んでいる子どもたちだけにとどまりません。

市内に大学がない宮津市では、高校卒業と同時に若者が地域を離れてしまう課題がありました。そこで、進学によって市外に住んでいる高校OBや、まちの教育に関心を持つ大学生をオンラインスタッフとして雇用し、Q-portの広報活動に挑戦しています。

> Q-port 公式Instagram
> Q-port 公式note

「宮津に恩返ししたい」と語る彼らの存在は、まちを離れても若者が地元に関わり続けられる新しい「関係人口」のモデルケースとなっています。

宮津市には、豊かな自然や歴史だけでなく、「何かを始めたい」強い想いを持った大人や学生が多く存在します。今後はQ-portが中心となって、こうした地域資源や熱意ある「人」をつなぎ、地域全体の学び合いを定着させることで、まちを離れても「関わり続けたくなる」循環の仕組みを作ってまいります。

【無料相談会のご案内】

ここで紹介したアプローチは、宮津市に限らず、全国の自治体で再現可能な手法です。「地域と連携した探究教育の実行体制づくり」や「地域を出た若者が関わり続けられる仕組みづくり」にご関心のある自治体のご担当者様は、ぜひお気軽にFoundingBaseまでお問い合わせください。視察のご相談も可能です。

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※この記事は2026年08月時点の情報です。


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