太田 柾貴(Ohta Masataka)
教育事業部 / 豊後高田市
1995年生まれ。北海道出身。
大学時代は北海道大学水産学部資源機能化学科で食品衛生学を専攻。
卒業後は東京のIT企業でシステムエンジニア、経理を経験したのち教員を志て退職。
定時制高校で学習指導員として教育に携わりながら転職活動を行い、2024年7月にFoundingBaseにジョイン。
現在は教育事業部に所属し、豊後高田市で公設塾うみねのスタッフとして数学科とキャリア教育を担当。
迷う子供
幼少期は賢いねと言われる一方でわざと迷子になる困った子でした。両親に連れられて大型商業施設に行けば親の目を盗んで勝手に本屋で立ち読みしてたり、スポーツ用品店のスキー板に挟まって隠れたりと自由奔放に駆け回っていました。一方で真夏の空の下で蟻の行列をぼーっと眺めていたり、雲の流れを見つめていたりと自然をジロジロ観察するマイペースさもありました。
そして成長とともに落ち着かない性分は好奇心へと変換されていきました。面白そうだからという一点で生徒会長になってみたり、学園祭の有志発表のためにギターを始めたり、金はないけど東京に行ってみたい気持ちで普通列車を乗り継いで片道24時間の電車旅を計画実行したりと何事も楽しむことを第一に思春期を過ごしました。
そんな中で初めての挫折を高校時代に経験します。
入学して間もなく、私はマイルスデイビスに憧れてトランペットを吹いてみたい気持ちでオーケストラ部に入部しました。しかし金管楽器は経験者が多くチェロパートに配属されることとなりました。まぁしょうがないかと自分なりにチェロを頑張ろうとしたのですが問題が発生しました。
まず中学の時に始めたギターぐらいしか音楽経験のなかった私は楽譜があまり読めず、部の中では異色の存在でした。部員は基本的に楽典の知識があるか吹奏楽部や習い事で自分の担当楽器経験のある人ばかりだったので音程がわからない、楽譜を読むのに時間がかかるといったことに対して理解を示してくれる人がいなかったのです。先輩や同期に教えを乞う中で、自分が当然のようにできることを教えるという行為の難しさも痛感しました。
約1年ほど続けましたが、今まで上手くできなかったことなんてほとんど無かった自分にとって実力が明確に不足していることにショックを受け、次年度の練習が本格化する前に退部することに決めました。
辛かった一方で好奇心が萎むことはなく、高2になってからは生徒会に入ったり仲の良かった先生と夏休みに個人的に演劇の舞台をやってみたりという日々を過ごしました。この時の経験が「失敗はする。でもその次もすぐにある」という今の自分に通ずる考え方を養ったのかと思います。
迷える大人
大学時代も相変わらず楽しむことを第一にしてギターを続けてたり無茶な計画の旅をしたりしていました。しかし、突発的な好奇心によって様々な経験や友人ができた私ですが、それを人生という長い路でどのように活かしていくかなんて考えもしなかったのです。
そして気がついた時には周囲の皆は就職活動に奔走していました。きっとこれからも楽しいだけの日々が続くハズだと現実から目を逸らした私は、ハリボテの論理武装で就職戦線へと飛び込むこととなりました。当然就職活動もなかなかうまくいかず、なんとか内定をいただけた会社でがむしゃらに仕事をこなすその場しのぎの日々を送っていました。
東京で働いてしばらく経った頃、私は散歩が趣味になっていました。当時はコロナ下ということもあり意図的にならなければ自然に触れ合う機会は少なく、北海道の自然が恋しくなっていたからです。それと同時にリモートワークへの移行に伴い考え事が増え、今の仕事を本当に生涯やり続けるのだろうか、それで自分の人生に納得するのだろうかと思うようになりました。
そんな時に会社の都合で経理部への転属が決まり、経験もない不慣れな仕事に忙殺される中で意外と頑張れるかもなという気持ちと、どうせ頑張るなら自分がやってみたいことで頑張りたいなという気持ちが強くなりました。そう思ったら行動は早く、大学進学の際に迷っていたもう一つの選択として教員を志してみようと会社をやめました。
半分勢いもあった教員への道でしたが、キャリア教育について勉強した時、自分は真剣に教育に携わりたいと思うようになっていきました。
私はキャリア教育を通じて、子供達にはこうした自分のような迷ってばかりいる形だけの大人にならないようになってほしいと強く思ったのです。
迷路の先
こうして教育に対する意識、自分が成し遂げたいと思うことの意識が明確になった先で出会ったのがFoundingBaseでした。エージェントに紹介された時は「まちづくり会社」ということで果たして自分とどういった共通項があるのだろうと思いましたが、まちを作るにあたり人を育てるという考えを持っていること、そして何より実際に教育事業部などを通じてそれを実践していることがわかると自分の思いを形にする場としてこの上ない会社だと感じました。
誰しも自分のなすことに迷うときはあるのだと思います。ただそんな迷っている時に孤独でいるのはとても苦しいことだし、つい後ろ向きに物事を考えてしまいます。
現在、私はそんな時に共に悩み、そしてこれからが楽しくなる方へと歩み始める助けとなるべく働いています。
迷路の終わりはまだ見えませんが、その先の方へと行ける気がする今日この頃です。