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【宮城県加美町】事業レポート 加美町地域未来塾事業である「夏の寺子屋」実施報告

 今回のレポートでは、7月最終週から1週間にわたり実施した加美町地域未来塾事業である「夏の寺子屋」について、実施までの取り組みと振り返りをお伝えいたします!

▼これまでの加美町からのレポートはこちら▼

わたしたちが目指していること

 FoundingBaseの教育事業部は、「地域における挑戦機会を最大化。ひとの成長を生み出し、まちの変化を創る」をミッションに日々活動しています。

 2022年8月からスタートした宮城県加美町拠点では、町唯一の高校『中新田高校』の探究学習・生徒募集、令和5年度より統合し新設された『鳴峰中学校』の探究学習のアップデート、今年度からは『中新田中学校』での探究学習のアップデートを実施し、学校内での生徒の挑戦機会を最大化することに取り組んでおります。

 そのほか、加美町が実施している地域未来塾事業「夏の寺子屋」における体験学習のコーディネートをはじめとした学校外における挑戦機会の創出・最大化に向けた取り組みも実施しております。

夏の寺子屋とは?

 夏の寺子屋は、加美町で何年も取り組まれている事業で、小中学生の夏休み中の補助学習の場として実施しております。自主学習と体験学習の2つのコンテンツがあり、FoundingBaseでは昨年度より主に体験学習のコーディネートを通した夏の寺子屋全体のアップデートに取り組んでおります。
 体験学習のコーディネートに関わることは、教育事業部のMISSIONである「地域における挑戦機会を最大化」に大きく寄与するものであり、体験学習内において挑戦機会を創出すること、そしてそれを最大化していくことは、「探究し続けるまち、加美町」にも通じると考え、力を入れて取り組んだものの一つです。
 昨年度の様子もnote記事にまとめておりますので、下記のリンクからご覧ください。

 体験学習では、加美町にゆかりのある方々を先生として迎え、座学ではなく手や体を動かして思考する体験学習を実施しています。これは、日々の学校での教科学習との接続を図りながら、学習意欲の向上を狙っております。

昨年度からの変化

 昨年度からの大きな変化としては2つ。1つは、体験学習のコンテンツ数の増加。体験学習コンテンツの増加により、小中学生の興味関心に刺さる可能性を増やすことで、参加者増につながると考え、各事業者さまと調整をしてきました。
結果として今年度は、

・ドローンサッカー体験(ドローン会社さまが担当・昨年度から引き続きご参加)
・お金の流れを知ろう/金融RPG(FoundingBaseが担当・昨年度から内容変更)
・Englishキャンプ(加美町ALTの方々が担当・町の別事業で行っていたものを統合)
・美術創作体験(町内美術科の先生が担当・今回初の実施)
・中新田高校生による授業(中新田高校生が担当・今回初の実施)

の5コンテンツを提供し、昨年度を上回る参加者数となりました。参加者増に向けて施策を検討し教育委員会の皆さま・事業者の皆さまと共創しながら、アウトプットファーストで実行してきた結果がこのような成果に結びついたと考えています。

 もう1つは、体験学習の1コンテンツとして、高校生による小中学生向け授業(センセイ・プロジェクト)を実施したこと。これに関しては次項で詳しくお伝えします。

センセイ・プロジェクトの概要と実施内容

 今回の夏の寺子屋では、町唯一の高校である中新田高校の生徒2名が、授業実践として体験学習の1コンテンツを担いました。
 以前から授業コーディネートをしている中新田高校において、教員志望の生徒や、子どもと関わることに興味のある生徒が多くいることを認知しておりました。夏の寺子屋は小中学生が対象となるイベントであることから、生徒たちに夏の寺子屋で授業実践などの小中学生と関わる機会を提供することで、生徒の成長機会につながると考え、今回のような形で実施することとなりました。

 実際に教員志望である生徒2人が参加することとなり、「センセイ・プロジェクト」と題して、夏の寺子屋全体の方向性と連関するようにプロジェクトの目的を整理しました。

センセイ・プロジェクトの目的整理

 高校生にとっては初めて行う授業づくりでしたが、積極的に思考しアイデアを出していきました。ただ、具体的なアイデアベースで考えたり、"こんなことをやりたい"という自分軸で思考してしまうのはありがちなこと。

 具体的なアイデアから考えてしまうと、授業で参加者に伝えたいことが曖昧になってしまいます。
 今回は高校生に対して、下記の思考をしてから具体的な授業づくりを行ってもらいました。

①授業後に参加者がどのような考えを持っているかという理想状態
②理想状態に対して、現状はどのような考えを持っているのかという現状
③現状から理想状態に向けてどのような授業を提供していくのかという差分

 これは、普段から社内でも実際に行われている思考方法を、今回のセンセイ・プロジェクト向けにリメイクしたものになります。この3観点を通して、参加者に届けたい価値を明確化してから具体的な授業内容の検討をしたことにより、具体的な授業コンテンツを考えている中で迷った際も「参加者に届けたいことってこれだったよね」と生徒自身で振り返り修正することができました。

授業づくりに向けた思考整理

 話を進めている中で、生徒2人ともラーメンが好きという要素から【食への興味を持って欲しい】【食品ロスの問題について知ってほしい】という理想状態が出てきました。さらに、生徒自身が社会科教員を目指していることから【ラーメン×歴史】をコンセプトにした授業に決定。具体的な授業コンテンツを設計し、スライド作成・リハーサルを実施しました。下の画像は授業スライドの一部となります。

授業スライド例(抜粋)

当日の様子

 各事業者さまが5日間、8会場に分かれて、特色ある体験学習を実施しました。実施したコンテンツを簡単に紹介します。
 センセイ・プロジェクトは、【ラーメン×歴史】をテーマに、ラーメンの誕生、進化の歴史を学びながら、最後はオリジナルラーメンの考案をしました。年齢の近い人が授業をすることもあり、明るく楽しい授業の展開となりました。
 FoundingBase自身も授業を行いました。【お金の流れを知ろう】をテーマに、近年話題になっている老後2000万円問題を取り上げながら、お金の使い方・増やし方をゲームを通して学んでいきました。お金を増やすために投資をするのか、リスクを恐れて貯蓄に回すのかを真剣に思考している生徒の姿がみられました。
 美術科の先生は【創作意欲を掻き立てる土偶作り・コマ撮り体験】、ドローン会社さまは【最新技術への興味関心を広げるドローンサッカー体験】、ALTの方々は【かるたや英語の手紙制作などを通して英語への抵抗感を和らげる授業】を実施してくださいました。

センセイ・プロジェクト(高校生授業) 高校生の授業に小中学生が夢中になっていました!


FoundingBaseが実施している金融ゲーム
ゲームだけでなく座学で学ぶ時間も作り学びを深めました!


創作体験 守り神様土偶をつくろう
粘土で可愛い土偶をつくりました!


創作体験 コマ撮りアニメを作ろう
アニメのコンセプトを考えてから、タブレットを用いて制作しました!


Englishキャンプ 大切なひとへの英語の手紙制作
わからない言葉はALTの方々に質問しながら書き上げました!

 授業後の参加者への振り返りアンケートからは、下記のような内容が見られ、満足度が非常に高かったことが伺えました。

・知らないことを知ることができた
・大人になったら使えることが学べてよかった
・なんとなく英語が聞き取れるようになった
・みんなにドローンのことを教えてあげたい

夏の寺子屋全体を振り返って

 今回の取り組みを振り返ると、大きく2つのことが得られました。
1つは、日常での会話が子どもたちの挑戦機会を創出するきっかけになる可能性があることです。
 センセイ・プロジェクトでは、コーディネーターとして関わっている授業において、生徒の興味関心がどのようなものなのかを把握していたことで、今回のような挑戦機会の創出につながりました。
 私たちとしても、このような形で挑戦機会を創出できたことは非常に喜ばしいことであり、改めて日常からの生徒とのコミュニケーションから生徒の興味関心を察知すること、どのような挑戦機会を提供していくことが最適なのか思考すること、事業の中でどのように実施できるかを思考することの大切さを痛感しました。

 もう1つは、共創することによる可能性の広がりです。体験学習のコーディネートをするにあたり、各事業者さま・町役場の担当者の方とともに事業を進めてきました。参加者数が少ないところについては、放課後児童クラブと連携はどうか?という意見や、振り返りのミーティング時に来年度に向けた様々なアイデアが出てきました。
 "共創"という考えのもと各事業者さま・町役場の担当者の方とともに作り上げてきたことにより、活発な意見交換ができ、夏の寺子屋の可能性を広げる結果となりました。1人で進むのではなく、関わる皆さんと一緒に価値を"共創"できたことは、拠点としても成功体験の一つであり、今後もこの"共創"を大事に事業を進めていきたいです。

今後の拠点アップデートに向けて

 加美拠点としては、今年度初の学校外での挑戦機会を創出する場となった夏の寺子屋。
 イベントを通して、参加者から「もっとこうしたい」「やってみたい」という思いを生み出すことができ、次の挑戦に向けての意欲が見られました。夏の寺子屋で止まることなく、小さなイベントを起こしながら、「探究するまち、加美町」に結びつけて起こしていく中学校・高校の探究活動、イベントや事業を広げ、深め、さらなる「エリア価値」に繋げていきたいと思います!