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【中学生がジビエを使った商品を開発!ジビエプロジェクトが完了しました(山口県美祢市)】

山口県美祢市で運営している「公設塾mineto」では、毎週土曜日に挑戦のトビラ授業を実施しています。昨年7月からは、ジビエを使った商品を開発する「ジビエプロジェクト」を実施してきました。美祢市の地域団体や、有識者の方々のご協力の下、10/22(土)の授業をもって、全ての活動が終了しました。

今回は、ジビエプロジェクトのねらいや、塾生の変化なども含め、プロジェクトの様子をお伝えします!

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minetoの挑戦のトビラとは?

このジビエプロジェクトは、minetoの3つのトビラのうち、「挑戦のトビラ」の一環として実施しました。

公設塾minetoについては、こちら

minetoの挑戦のトビラでは「地域内の課題解決をする中で、主体的に試行錯誤し、主語を拡げる(=自分ごととして捉えるようになる)こと」を目指し、次のような3つの要素をもつプロジェクトを展開しています。

・3ヶ月以上の単位でプロジェクトを進める
・地域内の課題をテーマとして扱う
・地域の人と協働しながら行う

minetoでは、この「挑戦のトビラ」に特に力を入れています。

その理由は、私たちFoundingBaseの教育事業が目指している、「”地域が好きな人”を育む」という事業MISSIONを体現するためです。
”地域が好きな人”とは、「自分のまちに誇りを持ち、生きた証を感じることができる人」であると定義しています。

地域の中で単に「過ごす」だけや、地域の良い点を「享受する」だけでは、誇りや生きた証は生まれません。

そこで、私たちminetoは、「誇り」や「生きた証」を育むために、必要なことの一つとして「地域の中で主体的に試行錯誤すること」があると考えています。

ジビエプロジェクトとは?

 さて、そんな「挑戦のトビラ」の一環であるジビエプロジェクトは、害獣被害や狩猟をとりまく現状やジビエの魅力について学び、ジビエを使ったペットフードの開発を行う全12回の授業で構成されるプロジェクトです。
プロジェクト全体を通して、地元の地域団体”マナガタBase”や、各分野の有識者の方々と協働して実施しました。


マナガタBase Facebook
https://www.facebook.com/managata.base/

ジビエプロジェクトの3つのねらい

 今回のジビエプロジェクトでは、地域の中で主体的に試行錯誤することを通して、”地域が好きな人”を育むために、特に注力するポイントとして下記3つのねらいを設定しました。

①「課題の発信者」として活動し、“自分が生きた証“を残す
②より身近な地域の大人と協働し、”まちのエネルギー”を感じる
③より主体的に試行錯誤する

①「課題の発信者」として活動し、“自分が生きた証“を残す
これまでminetoでは、美祢市の魅力の発信を主題としたプロジェクトを多く実施してきました。一方で、ジビエPJでは駆除された害獣の活用という地域課題を起点としています。そのため、駆除された害獣の活用という地域課題を語れる状態、すなわち「課題の発信者」となる必要があります。
この「課題の発信者」として向き合う時間や、そのアウトプットとしての商品は、"自分が生きた証"だと自信を持って言えるものになると考えています。

②より身近な地域の大人と協働し、“まちのエネルギー“を感じる
ジビエプロジェクトでは地域の団体マナガタBaseと協働してプロジェクトを実施しました。マナガタBaseは、「美祢市をよりよくしたい」という大人が集まり、ジビエの活動などに取り組まれている団体です。これまでも多くの地域の大人の方に単発的に授業に参画いただきましたが、長期間にわたって協働するという経験は、塾生にとっても"まちのエネルギー"をより感じやすくなると考えました。

③より主体的な「試行錯誤」の場
プロジェクトの終盤には、イベントでの販売権をかけて商品プレゼンをおこない、有識者が審査員となってジャッジするコンペを実施しました。
このように、ビジネス的要素を入れることで、塾生に緊張感を持たせ、より主体的な「試行錯誤」が生まれるようにしました。

このようなねらいを持ってスタートしたジビエプロジェクト。
ここからは、実際のプロジェクトの様子をフェーズごとに紹介します。


フェーズ① ジビエの利活用の現状について学ぶ

 商品開発の前に、まずは「ジビエ」という領域について学びました。ジビエの加工販売事業を行なっている方や、IoTを使った狩猟を実践されている方をゲストにお迎えし、鳥獣被害の現状や課題、また最先端の技術を使った狩猟についてお話を伺いました。講師の方が持参してくださった鹿肉の餃子とローストビーフの試食の時間も!
さらに、実際に猟師をされている地域の方に猟場と加工場を案内していただきました。

塾生の感想
「畑仕事をして自分が(鳥獣被害で)困っていたことを、自分で解決しようと思うのがすごいと思った」
「ジビエは売る時の審査が厳しく、獲っても売れないこともあると知って、売れない肉もどうにかしたいと思った」

フェーズ② 学んだことを生かして商品のパッケージを考える 

 フェーズ①でジビエについて学んだ上で、商品開発に取りかかりました。
クリエイター・プランナーとしてご活躍されている方をお招きして、商品開発の考え方について学びました。また、消費者のニーズを知るために、トリミングサロンを営まれている方からお話をうかがい、飼い主や犬のニーズを把握しました。さらに、「ニーズに沿うだけではなく、開発する側の“想い“も大事」ということを、NIKEやAmazonの創業背景の事例から学びました。

このように商品開発の考え方を学んだ上で、2チームに分かれ、商品のデザインを依頼するための「デザイン依頼シート」の作成にとりかかりました。
「顧客に一番伝えたいことは何か?」「商品を買ってもらってどんな変化を促したいか?」など、自分たちの“想い“の部分を中心にチームで改めて話し合いました。


話し合いを経て、各チームが伝えたい想いが次のようにまとまりました。

チーム①
「ジビエに対する偏見があるが、安心・安全で美味しいことを伝えたい」
チーム②
「害獣駆除として狩られたジビエが捨てられていて、もったいないという状況を伝えたい」

そして、これらの想いが伝えられる商品名・キャッチコピーやデザインを考えていきました。


フェーズ③ 商品案をコンペで発表する

商品パッケージが完成した後、イベントでの販売権をかけて、自分たちの構想を関係者に発表する「コンペ」を行いました。
塾生たちは、これまでに学んだことや、それに対して自分たちが思ったこと、それをどのように商品に反映させたかをプレゼン。見事、2チームとも基準点を満たして、イベントでの販売が決まりました。

そうして完成した商品がこちらです!!



フェーズ④ 商品をイベントで販売する

 プロジェクトの集大成として、10月15日(土)に開催された「ジビエサミット」で完成した商品を販売しました。塾生は、ブースで接客をするグループと、会場をまわって宣伝をするグループに分かれて活動。
ブースで接客をするグループでは、プロジェクトで得た学びをデザインにどう落とし込んだのかについて説明する様子が見られました。会場をまわって宣伝をするグループでは、商品の説明だけでなく、minetoについて説明している塾生も。
2時間という短い出店時間でしたが、合計14個の商品を販売することができました。

塾生の感想
・買っていただくにはどんな工夫をしたらいいかなど、消費者の立場になって色々考えた
・ペットフードということもあって、買ってもらう人は限られたけど、たくさんの人にminetoを知ってもらうきっかけになったかなと思いました。
・質問されても答えられないことがあったので次の販売の時には答えられるようにしたいです

塾生の変化 

 美祢という地域をフィールドに、さまざまなことを学び、アウトプットし、まさに試行錯誤してきた3ヶ月。この期間を通して、当初設定した3つのねらいが徐々にかたちになって塾生の様子に現れてきました。また、ジビエプロジェクトの前後に実施したアンケートの回答内容でも、塾生の変化がみられました。

①「課題の発信者」として活動し、“自分が生きた証“を残す
商品を通して伝えたいメッセージとして塾生たちは、「ジビエに対する偏見があるが、安心・安全で美味しいことを伝えたい」や「害獣駆除として狩られたジビエが捨てられていてもったいないという状況を伝えたい」など、いずれもジビエの課題にまつわる内容を設定しました。
それを反映させた商品をかたちにできただけでなく、イベントでの販売の際に、自分たちの言葉で、課題について話す様子も多く見られました。

プロジェクト後のアンケートの「ジビエの課題に対してあなたにはどんなことができると思いますか?」という項目では、
・ジビエが「おいしいくて栄養があるんだよ!」と友達や知り合いに宣伝する
・「自分が学んできたことをフルに生かしてジビエについて説明して、偏見をなくす」
といった回答も見られました。
プロジェクト前には、ほとんど回答がなかった「ジビエの課題」にまつわる項目も、プロジェクト後にはさまざまな観点の課題で埋まるなど、大きな変化がありました。

②より身近な地域の大人と協働し、”まちのエネルギー”を感じる
「畑仕事をして自分が(鳥獣被害で)困っていたことを、自分で解決しようと思うのがすごいと思った」という感想があったように、大人が地域と向き合い、行動する様子を肌で感じることができました。さらに、長期にわたって協働したことで、塾生と地域の大人の方との新たなつながりが生まれ、プロジェクト後には、マナガタBaseのイベントに有志の塾生が参加するなどの動きもありました。

③より主体的に試行錯誤する
コンペ直前期には、議論がヒートアップ。ひとつの論点に対して1時間以上かけて議論するチームも。また、「消費者のニーズの見立てが違ったかもしれないから、もう一度確認したい」と申し出てくる塾生もいるなど、自分たちのプロジェクトとして、主体的によりよくしようと手数をかけて進めていました。

いかがだったでしょうか。
次の土曜日の挑戦のトビラ授業は、、「映像制作プロジェクト」が始動します!
美祢のお店や施設、そこにいる地域の方々をテーマに、バラエティ番組を制作します。映像制作という手段を通して、目の前のものごとや世界をより「多角的・多面的」に捉えることができるようになるプロジェクトにできればと考えています。

今後もminetoでは、塾生の挑戦の場を作り続けていきます。
引き続き応援のほどよろしくお願いいたします!



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